2007年11月27日火曜日

最後の店



緑橋から7年、森之宮から3年、

かれこれ10年。

毎朝毎晩、長堀通りをバイクや自転車で船場や堀江に通う。

その途中にずっと気なっていた

店なのか事務所なのか分からない場所があって、

たまにはそぉっと覗いてみたりしたのだが、

どうも見当がつかず入れなかった。

それがこの前、

建築関係のお客様の師匠の師匠の骨董屋だということがわかった。

10年のはてながパリンと落ちてその夜、

22時も過ぎようかという時間にふっと立ち寄ったら、

電気がついていて

主人が盆栽に手を入れていた。

覗き込む僕に主人が、

「12月20日で終わりなんですよ。良かったらどうぞ。」って。

気さくな主人は和製ジャン・トゥイトゥーといった感じで、

くりくりパーマにお洒落な眼鏡、

僕を店に入れるとまた外で盆栽いじったり水をやったり、ほったらかし。

店内は外から見るより広く天井も高く、

所狭しと骨董、焼き物、ガラクタ、悪魔のお祭りに使うであろう物、

戻ってきた主人が「どうです?妖しい店でしょ?」

迷わず「はい」と答えて、

「壁塗るコテ」?と「テレピン入れ」なるものを買った。

週末の昼間だけ開く店だったらしい。

そらサービス業の僕には縁がなかった訳だ。

できれば10年前から通いたかった。

でも最後に良かった。

2007年11月1日木曜日

「LESS IS MORE」を考える。



たまにはまともな事も考えてみる。


「LESS IS MORE」

20世紀のモダニズム建築を代表するドイツの建築家、

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe、1886~1969)の言葉である。

less is more を日本語になおすと、

「少ないほど、豊か。」

となる。


僕は建築に関して無知である。

そんな僕が笑われるのを承知で言わせてもらえるなら、

美しい建築は、その建築物を製造するというよりも、

内と外、その空間、空気、つまり余白、

それがある場所そのものをデザインしている気がするのだ。

だから建築物がごちゃごちゃ大きなものになればなるほど、

そこに生まれる空間、空気、スペースは少なくなる。

限りある空間に、最小限のデザインを施す事で、

最大限に空間を生かすのだと思う。

千利休もこれに近かった気がする。


心理的に思えばこの言葉はとても仏教的で、

「少ないほど、豊か。」

人間はたくさんあると当たり前に思い、少ししかないと大切にする。

だからこそ「少ない」が大事なんだと。

何かを大切に思う人間の心こそが豊かで美しい。

人間の美意識を必然にしてそこに盛り込まれているのではないかと僕は思う。

物を作るときに美意識ほど大切なものはない。


僕等の仕事も同じ事だ。

ヘアースタイルを作ればいいのではない。

結果、その人に笑顔にすること、

幸せな気持ちになってもらうこと、

美しい人間になってもらうことが美容師の仕事なのだ。


LIM HAIRのLIMはLess Is Moreの頭文字をもじったものだ。

髪は少ないのがいいという意味ではない。